(え…でない?)
無詠唱で念じるだけで発動するはずの魔法がでなかった。
殴られたせいでまだ精神集中できていないだろうか。
しかたなくリリアは手を掲げ、呪文を詠唱しようとして…
「ウキ…ウギッ!?」
その視界に映った自身の手、そして人語からかけ離れた鳴き声を聞くこととなったのだった。
腕にびっしりと生えた短い毛、そして人とは違う、木を掴むような動作に特化した長い手のひらと短い指はシワだらけだった。
リリアは自身を見下ろす。
つい最近、買ったばかりの魔力の込められた衣装は姿かたちもなくなっていた。
そこにあるのは腕に生えたものとおなじような茶色の短い獣毛で覆われた身体。
よくよく周りを見回してみれば森の背丈が高くなっている。
…いやこれは自分の背が小さくなっているのだ。
意識をお尻にやってみれば、長い尻尾が生えており、自分の意志とは関係なくゆらゆらとゆれているのがわかった。
リリアはそこで察する。
(私…ワイルドコングになっている!?)
支援はこちらから!
https://dnstory.booth.pm/items/1652444
0 件のコメント:
コメントを投稿