Author : danna (だんな) / danna_story
状態変化、TSF、獣化の片隅にひっそり生きてます。
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2019/11/12

特攻スキル

俺はどうやら死んだらしい。
真っ白な地面とどこまでも続く地平線。
空も雲ひとつない、それどころか太陽も見当たらない…だが明るい。

そして目の前には面積の少ない服…というより布をまとった少女。
なんだろう、ここはあの世なのだろうか。

「失礼ですね。ここは私の部屋であり、そして転生の間でもあるんですよ」

そうかい。
で、俺はいったいどうなったんだ?死んだのか?

「ええ、あなたは数分前に死亡しました。ただ転生の抽選に当たりましたので」

転生。
本当にあるとは思わなかった。漫画とか小説の中だけの話だと思ってたぜ。

「ええ、ただしこれから転生する先は色々問題を抱えている世界です」

それを俺になんとかしろと?
ただの高校生だった俺に?

「もちろんスキルは差し上げますよ。好きなスキルを選んでください」

ほう。俗に言うチートスキルというやつかな。
何があるんだ?

「特攻スキルがありますね」

特攻?

「あなたの世界で言うカミカゼ的なものではなくて、条件を満たすと問答無用で倒せるスキルです」

なるほど。どんな特攻があるのだ?

「対カエル・石化特攻とかどうです?」

カエル。
転生先にもカエルという種が存在するのか。

「どの世界もだいたいテンプレから作成されていますからね。下手に尖った生物を作るとすぐ世界が壊れてしまうので…」

なんだそれは。
というかそんな対カエル・石化特攻って制限きつくないか?

「でも問答無用で、触っただけで石化させられますよ。カエル化魔法を持った冒険者と組めば無双ができるでしょう」

…いや。どうせ魔王とかその幹部は耐性もってたりするんだろう?

「…そうですか。ではこれはどうでしょう。対寄生・即死特攻」

寄生虫とか、人に憑依する幽霊に聞くのか?

「いえ、寄生されている生物に効きます」

うん、だめでしょ。

「虫を操る冒険者と組めば…」

そんな漫画の中盤に出てくる能力者みたいな冒険者嫌だよ。
燃やされたり、毒を散布されて虫が使えなくなるのは予想できる。
というかロクな能力がないな。もっとマシなのないのか?

「私はニッチなファンデッキを作るのが好きでして」

知らねえよ。
俺の第2の人生、そんな奇抜なコンボデッキにしないでくれ。

「最近は万能能力より、尖った能力を渡すのが女神の間でブームなんですよ」

…。
女神は人を転生させて別の世界の問題を解決させるのが仕事なのか?

「どちらかというと娯楽ですかね。世界を作りすぎて問題が山積みなんですがこうするとうまく解決できるかもーって」

…もういいよ。
次の能力を教えてくれ。

結局、女神から最後まで隠し持っていた「敵のスキルをコピーする」という能力を奪い取るようにして俺は転生したのだった。

---

パッと世界が変わる。
白一色だった世界は緑が生い茂る草原に変わった。
その瞬間に殺気を感じて俺はかわす。

1人の小さな幼女が俺の脇を駆け抜けていく。
その手には小さなナイフ。脇腹を少しかすめたその刃が、皮膚の表面、その薄皮を切り裂く。白いシャツが薄っすらと赤く染まった。
交わされた幼女はこちらを向き直ると腰に挿していた太刀を引き抜く。
その佇まいはまるで達人のように見える。平和な世界の高校生だった俺では勝てる気がしない…が。

「コピー・スキル!」

その瞬間、俺の目の前と少女と同じスキルが備わっていく。
剣術【達人】、瞬足、気配察知【上級】、回避【上級】
…よく初撃を躱せたな、俺。
いや、スキルレベルは十分高いように見えるけども、どうやらチート的なスキルは持っていないようだ。
落ちていた棒きれを拾って構える。
幼女が信じられないといった表情でこちらを見ていた。
そりゃ驚くだろうな。
一刺しでいけると思った相手が急に自分と同レベルの達人になったのだから。

研ぎ澄まされた感覚が幼女以外の気配を察知する。
幼女に対して太刀を向けつつ、後ろを振り向いた。

「新しい転生者かな?うかつだったね」

その男と目を合わせた瞬間、俺の身体はピクリとも動かなくなった。
見ただけで麻痺…?こんなチートスキルあるのか!?

「いやぁ、こんなスキル押し付けられた時はどうなるかと思ったけど、意外と使いみちがあるんだよねえ」

こいつも転生者…?

「ちなみに君、詰んでるから」

はっ…?
まさか…この傷?

目の視線だけをなんとか下へ向ける。
そこには信じられない光景があった。
高校生男子の平均並にあったはずの筋肉は消え失せ、ほっそりとした枝のような頼りない腕、骨と皮だけになってしまったような胸板。
それどころではない。
膝下までしか伸びていなかった草原の草は腰辺りまで伸びている…。
草が成長したのではない。自分の身長が現在進行系で縮んでいっているのだった。

「"妹化のナイフ"」

目の前の幼女がポツリと呟く。
…何そのふざけた名前。

「このナイフで切られた人間は、幼い少女に変化する。体格の適正化及び筋力の低下。そして"妹"属性の付与」

妹属性…?

「そして僕の能力。対妹・洗脳特攻」

は?

「妹属性を持った生物に対して、最優先の洗脳をかけることができるんだ」

普段なら使えなさすぎるスキルで一笑に付すところだが。
…見事にそのコンボは俺に刺さってしまっている。

「いやーこの世界に来て最初のダンジョンでそのナイフを見つけてね。手っ取り早くこの国の歴戦の将軍を妹にして、こうして新たに来る転生者を張ってたんだ。使えそうな能力を持ったやつがいたら手に入れるためにね…。で、君の能力は?」

…誰が答えるもんかよ。

「…"敵のスキルをコピーする"…です」

幼くなった声が、自分の口から勝手に発せられた。

「あはは。君が"妹"である以上、君の意思より僕の命令が優先されるからね。しかし使い勝手がありそうなスキルだね。あの女神、使えるスキルもってるじゃないか。採用」

採用…?

「そう、採用。今日から君は僕のパーティのメンバーだ。名前は…そうだな。リリィにしようか。君にナイフを刺したその子の名前はメルル…前はなんだっけオルランドゥとかごつい名前だったけど。そうだな。俺を兄、メルルを姉として認識しなさい」

「はい…お兄ちゃん。…メルルお姉ちゃん」

口が勝手に動き、身体も勝手に戦闘態勢を解いて、目の前の男に対して寄り添うように抱きついてしまう。
俺は必死にその目の前の男のスキル「対妹・洗脳特攻」をコピーして、使用してみるが…。
「妹」にしか効かないスキルは目の前の男にはもちろんのこと、姉として認識された"メルル"にも通用しないのだった。

「こら、勝手にスキルを使わない。お兄ちゃんが使ってもいい、っていうとき以外は使わないように」
「はーい、お兄ちゃん」

こうして俺の冒険は終了した。

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