2019/08/23

だんだん、徐々に、着々と。(5)

4話

どれくらいゴムの身体の桜子に触れ続けていただろうか。
はぁはぁ、と彼女の息が荒くなっていく。

本当であればその気持の高ぶりが身体にあらわれてくるのだが、
その胸の先端は最初から立ちっぱなしだし、股間も湿ったりすることはない。
俺はベッドの近くに用意しておいたローションを用意し、彼女の大事な部分にねっとりとつける。
テカテカとした光沢を得た桜子の肌は、ますます人工物であるということを表明してきた。

桜子の顔に手を触れる、彼女が一瞬ピク、と震えたがコクリ、と小さくうなずいた。
俺のはそのそそりたつ股間のモノを、彼女のその人工的な入り口へ挿入した。

桜子の顔がぐっと目をつぶる。
身体は無反応ではあるものの、その顔は発汗し、頬は真っ赤に染まっている。

「んっ…んん…っ」

俺が少し動けばその動きに合わせて桜子からも小さな吐息が漏れる。

(不思議なもんだな。どういう超常現象なんだか)
普段であれば桜子が俺の手を握ってきたり、背中に回して抱きついてきたりとするのだが、今日の彼女はされるがまま、ピクリとも動かない。
イチモツをギュッと締め付ける感覚も一律な人工的な圧迫感のみだ。

(だけど…っ)

そう、その入口は男を喜ばせるだけに作られた形状をした商品なのである。
絶妙な凹凸が、かなり気持ちがいい。

「キヨっ…ヒコ君…もう…わたし」

どうやら彼女の脳には絶頂に近いという信号が送られているようだ。

「よしっ、いくぞっ…」

俺はピストン運動を激しくしていく。
ガクガク、ブルブルとそのゴムの体が揺れる。

「あっ…ああっ…」

そして彼女が絶頂に達する、その直前。

(魔人よ。顔を入れ替えろ!)

「あー - - - ………」

桜子のせつないあえぎ声は、一時停止を押された動画のようにピタリと止まる。その顔を見れば間抜けな顔で口をOの字にして開けたままのいつもの人形がそこにはあった。

ビュ、ビュルル!

俺も限界を迎え、その偽物の中へ白濁した液体を放出する。

「……………」

桜子も絶頂に達したはず…なのだがその様子は一切わからない。
たたただされるがまま、静止したままの人形がそこにはあるだけだ。

「さて…と」

ズボッとモノを引き抜き、その粘着質な液体を軽く拭き取る。
そして桜子の身体をベッドから起こしてみた。
彼女を支えていた俺の手を離した瞬間、桜子は重力に従ってその身体はドサっと倒れた。

彼女が何を思っているか、何を感じているか、何を言っているか。
それは一切わからない。だが、このただの性欲処理人形の中には間違いなく、桜子の意識が存在するのだ。

(とはいえ…このままだと何時もと変わらないからな…。魔人よ。彼女の心が読み取れるようにしてくれ)

一瞬、俺の身体がじわり、と熱くなる。
どうやら能力が付与されたようだ。

「桜子」
(キヨヒコ…くん?わたし、いったい)
「どうした?」
(なんで、わたしこんな…、ううん。違うよね、私はただの人形で…キヨヒコくんが私の気持ちを読み取れるからこうして優しくしてくれていて…?)

どうやらさすがに全身を人形にしてしまうと記憶の操作にも多少影響がでてくるようだ。
自身が人形である、という事実が素直に受け付けられていないようだ。

「そうだよ、桜子。君はただのオナホールがついた人形なんだよ」

とはいえ、さすが魔人の力か。
しばらく話していくうちに、彼女は自身の状況に疑問を持たなくなったようだ。

(そうだよね…?ああ、今日もキヨヒコくんが使ってくれて、うれしい…)

さて。
次の段階だ。
彼女にヤキモチを焼かせてみようか。

俺は、クローゼットの奥に隠してあった人形を取り出す。
今朝の段階では赤いゴムの塊人形だったはずのソレは、もちろん桜子と身体を交換したことでー。

(予想通りだ)

個性がなかった顔は、見かければ誰もが振り向くような美少女で。
肩まで伸びたサラサラと流れる髪の毛、綺麗手入れされた爪、真っ赤だったゴムの肌は、シミひとつないキレイな白い肌へ。
表情こそは無表情で虚空を眺め続けているものの、それは俺の彼女だった桜子の身体そのもので間違いがなかった。

(ごたいめーんってか)

壁にもたれかかるように座らせてみる。
意思のないその少女の身体は、その胸や股間をあられもなくさらけ出している。
そして同じように赤いゴム人形の桜子をその対面に、向き合うように座らせてあげてみた。


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