2019/07/31

短編

 趣向を変えて陰茎化です。
普段とジャンルが違いますので、閲覧する方はご注意ください。



目の前が真っ暗になった。
比喩でもなんでもない。

自室でくつろいでいた、私は視界を、光を失った。
真っ暗闇の中、慌てて立ち上がる。
何が起きたのか確認しようと顔に手を当てるが…。

スカッ。
…そこに自分の頭部は存在しなかった。
空を切る両手。
恐る恐る首の根本に手をやってみればそこには何もなかった。
左肩から右肩の間には平面が存在するだけ。
鎖骨の間から伸びているはずの首すら、消滅していたのだ。

(ど、どういうこと)

ゆっくりと部屋の記憶を思い浮かべながら自分のベッドの縁を見つけ、腰を下ろす。
病院…?お母さん…に連絡…?
手探りでポケットに入っているスマホを取り出してみるものの、画面に何が表示されているかがわからず操作ができない。
パニックに陥る私。

そのさなか、急に頭の感覚が戻ってきた。
だが、その感覚は慣れ親しんだものではない。
何かに、柔らかいものにピッタリ包まれているようなそんな感覚。

ググググ…。

聞きに慣れないその音は自分の股間…何もなかったはずの土手から発生した。
何も見えないので自分の身体になにが起きているかは感覚でしかわからない。
脚…左右のふとももを押しのけるようにしてなにかが膨らんでゆく。
その膨らみは2つの大きな袋となって股間の付け根にぶら下がっているようだ。
大きくなっていくその袋はとうとう、膝のあたりまで達した。
私はそのずしりとしたその重みで真っすぐ立っていられなくなり、ガニ股にして腰を落とした。
床のひんやりとした冷たさが、その大きな膨らみを包んでいる皮膚から伝わってくる。

ようやくその膨張が止まった…かと思えばその袋と袋の間からまた1つ、なにかが膨らむ感覚が始まった。
挟まれた状態から押しのけるようにして成長しだしたのは1本の棒状のもの。
私は股間にできたこの3つのものからなる物体には心当たりがあった。
男性のソレである。

(でもこれ…大きすぎるし、そもそもなんで私に…)

こんな事が起きるのか。
そんな不安を他所にぐぐぐぐ、と大きく伸びていく。
それにつられて何かに包まれたままの顔もなにかに押し出されるような感覚を受ける。

「んっ…むっ…ぐっ」

突如、ソレは訪れた。
視界が急に開けたのだ。
頭部を覆っていたものから解放され、顔を出すことができた。

「はぁはぁッ…な、なにがおきてるの…」

立ち鏡のほうを振り返ろうとするが、首がうまく回らない。
ビシッとなにかで固定されてしまっているようだ。
しかたなく、その重い身体をひきずるようにして、身体を回転させる。

「ひっ…」

私は言葉を失った。
そこには世にも奇妙な生物が居たからだ。
女子制服を着た頭部のない人間。
そのスカートは大きくめくれ上がっており、伸びに伸びてところどころが破れた下着からはみ出た皺が入った大きな2つの玉袋が見える。
そこから天を仰ぐようにそそり立つ、ところどころに血管が浮いた太い柱のような陰茎。
その先端、皮から顔を出しているのが…私の顔だった。
自分の小さな体に不釣り合いな大きな3つの塊がくっついた物体が鏡の前に鎮座していたのだ。

グググル…
お腹がなったのかと思うぐらいの音が袋の中から聞こえたかと思うと、
さらに太くまっすぐ伸びていく私の新しい首。
自分の身長よりも伸びてしまう。
顔が天井を向いたまま、その陰茎はガチガチに固くなってしまっていた。

(な…なにかがこみ上げてくる…?)

吐き気とは違う、別の何かが喉の奥からせり上がってくる感覚。
それをなんとか抑えようと、自分の手を動かして小さな手で私の顔が付いている竿に触れる。
それがいけなかった。

ピトっと触れたその箇所からとてつもない快感が走ってくる。

「んっ…あああああっ…」

その衝動を抑えようとして、私はだきまくらを抱えるように竿を抱える。
さらにそこから快感。

「だ、だめぇ…!」

ぶぼっ…。

喉の奥からなにかが吹き出した。
口と鼻から白いドロリとした液体が大量に、勢いよく吹き出す。

天井を向いた口から飛び出した液体は天井にビタビタビタと張り付く。
粘着力があるのか、どろり、と天井から垂れ下がってきた。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

全身を襲う疲労感。
だが、私にそれを整える時間は与えられなかった。
シュルシュルシュル…。

(えっ、ちょ、ちょっとまって…!)

さっきまでガチガチだった竿が、空気が抜けた風船のようにしなびていく。
顔が、徐々に先端の皮に覆われていく。
仮性包茎…。そんな言葉が脳裏をよぎる。

ヘナヘナと垂れていく皮の中に包まれた顔。
それでもその大きさは、私の両手では先端に届かないために
皮をめくりあげて顔をひっぱりだすこともできない。

(んっ…、お、重い…)

立ち上がろうとしても私の身体より大きく、重い部位は、私の脚力では支えることができず、移動を拒んでくる。
そもそもこの見えない状態で2階の自室から1階へ降りるのはできそうにない。
ー今の騒動でスマホがどこかに転がってしまった。
足で感触を探るが見つからない。

(も、もうすぐしたらお母さん帰ってくるし…それまで我慢するしかないかしら)

私はそのまま部屋に佇み続けるしかなかった。

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ーただ今入ってきた最新のニュースです。
現在、世界規模突然変異のウィルスが人類に猛威を奮っている模様です。
このウィルスは女性の身体を急激に作り変えてしまう恐ろしいものです。

視聴者の皆様、マスクをし、できるだけ外にでないようにしてください。
繰り返します。不要不急の外出は控えてください。




この画像をみて書きたくなりました。
すばらしい作品をありがとうございます。
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=75294247



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