2019/07/04
だんだん、徐々に、着々と。(1)
まったく、こんな不思議なチカラを持つ奴だったとは。
最初に爺さんにツボを押し付けられたときは捨ててやろうとも思ったもんだが、どう転ぶかわからないものだ。
「おい、ほんとうにできるんだろうな」
『ああ、私の言うことに偽りはない』
「よし…じゃあやってくれ」
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朝、起きたときに違和感があった。
でもそれはなんだったのか。目覚めたばかりの微睡んだ脳の錯覚だったのか。
ベッドの上でぼんやりしているうちにその違和感は消えていく。
「…へんなの。着替えなきゃ」
ベッドから起き上がる。
中学、高校で急に育ったGカップの胸が重い。
(重い…だけじゃなくてなんか硬い…?)
まだぼけているのだろうか。
パジャマの胸元を引っぱって胸を覗き込む。
私はそこで顔が恐怖に歪む。
そこには全体がピンク色をした大きなゴムの塊があっ…。
…ん?
何を言ってるのか。
私の胸は元からこうだったじゃないか…。
ブラジャーをしていなくてもピンとたるむことなく前を向いた大きな胸。
手のひらで触ってみればブニブニとしたゴムの強い弾力。
うーん。まだ寝ぼけているのかな。
まあいいか、とりあえず着替えないと。
パジャマを脱いでペアの下着を取り出す。
「…ん?あれ。なんか収まりが…悪いかな…?」
胸とブラジャーをの位置を調整するがしっくりとこない。
たしかに私の胸は寄せてあげるみたいなことはできないのだが…。
「あ。そっか。合わないのはいつものことじゃない」
私の胸の先端にあるのは胸と同じ妖艶なピンク色をした乳首だ。
その乳首は特に何もしていないにもかかわらず親指の先端ぐらいの大きさでピン、と隆起している。
(特に興奮してるわけじゃないのに…ずっとこうなのはなんか嫌よね。ま、体質だから…しょうがないけど)
その硬い突起は生半可なパッドでは抑えることができず、どうしても下着と胸の間に空間ができてしまうのだ。
(そんなのいつものことなのに、どうして今日に限って変に感じたのかな…)
…気にしてもしょうがない。
そろそろ朝ごはんを食べに行かないと、遅刻をしちゃう。
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『どうだ?』
「…本当にこれは桜子さんの胸なのか?」
『間違いない』
俺の目の前に座っているのは全身ピンク色をした人型のゴム人形…安物のダッチワイフだ。
だがそのダッチワイフの胸…でかいだけの大きなゴムの塊だったはずのそれは、白い肌に淡いピンク色をした先端をもつ女性の胸そのものに置き換わっていた。
『お前の言う通り、橘桜子とこの人形の胸部を入れ替えた』
「マジかよ…おっほ。やわらけえ」
ゴムの塊だった胸とはうってかわってマシュマロのような、指に吸い付くような…。
俺は物心ついてから生身の女性の胸に触ったことなど無いのだが、これはおそらく本物だ。
「でも、これ桜子さん驚いてないかな?」
『問題はない。入れ替えたことは貴様以外には認識できない』
「…認識できない?」
『桜子本人も、周りの人間も元からそうであった、と感じるだけだ』
「まじかよ…」
『当然、その人形のついた人間の胸部も他のものにとってはただの人形の胸としか理解できない』
「へぇ…そりゃいいや。まあパニックになっているところも見てみたくはあるが…ショックで倒れられても困るからな」
目の前の2つの双丘を舐めるように撫で回しながら考える。
その扱い方は、どうみても痛みを感じるような力加減でもあったのだが、人形は物言わずされるがまま、当たり前だが何も文句をいうことはない。
「おっと、そろそろ学校行かないとな」
桜子さんの様子も見たいしな。
2話
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今度はダッチワイフ化でしょうか。 次の話が楽しみです
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