2019/06/04
男の娘との入れ替わり
「ね…ねえ、タツキちゃ…ん」
書類の束を抱えた女生徒を後ろから呼びかける。
こちらに気がついた女生徒はあたりをキョロキョロと見回し、他に人が近くにいないか確認する。
「ん?もう、アカリさんってば。学校ではお互いの名前で呼ぶって決めたでしょ?」
「そ、それは…」
「はい、やりなおし」
「…う。アカリ、さん」
私は目の前の少女に、"自分"の名前で呼びかけ直す。
生まれてから10数年、誰よりも見慣れているはずの顔がニコリと笑った。
「はい、よくできました。タツキちゃん」
「で、何か用?先生に頼まれてみんなのプリントを職員室へ持っていくところなんだけど。委員長って大変だよねえ…事あるごとに先生から雑用を押し付けられて」
「その…いつ、もとに戻るのかなあって」
「またその話?私もそんなのわからないからお互いのフリをしようって決めたんじゃない」
呆れたような顔をして「じゃあ行くから」とプリントの束を抱えて職員室へ入っていってしまった。
「うう…なんでこんなことに」
あのときも今みたいに先生に頼まれて荷物を抱えて職員室へ向かっていた。
予想以上に重かった荷物のせいでバランスを崩し、階段を踏み外して落下した先にいたタツキちゃんにぶつかったのだ。
幸いにも二人に怪我はまったくなかったのだが…。
お互いの身体が入れ替わってしまったのだった。
四宮タツキ。
性格は明るく…いい意味で天然気味。そのマスコット的なかわいさからクラスの人気者でもあった。
一方の私は地味でガリ勉、三つ編みのメガネ。
典型的な委員長キャラに見えるらしくそういった役割を押し付けられがちだ。
四宮タツキは身長はクラスの中で一番低い。
頭1つ以上低くなった視界はいまだに慣れない。
世界が一回り大きくなったように感じるし、クラスメイトが大きくなったように感じてしまう。
他人の身体になってしまうという異常事態の中、私をさらに混乱させている事情があった。
自分の手や身体を見回す。
胸の前に結ばれたリボンは、床に対してほぼ垂直にぶら下がっている。
"私"と同じ女子制服を着てはいるが、胸は控えめ…というよりはないにひとしい。
そしてお腹を通ってさらにその下。
女の子股間にあるはずのないものが、ついていたのだった。
入れ替わった直後、手を恐る恐る伸ばして触れた、柔らかい物体の感触。
その様子を見て"私"は笑いながらこう言ったのだ。
「んふふ…委員長に私の秘密、バレちゃった」
---
…まさかタツキちゃんが男の子、だったなんて。
あれから何度かお互い頭をぶつけてみても戻らない。
このままだったら一体どうしたら良いのか、悩んでいるときにタツキが提案してきたのはお互いを演じることだった。
「私が男の子だってこと、バレないようにね…もしバレちゃったら…」
「ー戻るの、諦めちゃうかも」
ボソリとそんなことを呟かれては従わざるを得ない。
それに元に戻れない現状、すこしでも安寧な生活を送るためには今までどおり"タツキちゃん"として振る舞っておいたほうが良いのだ。
もしクラスの女子達にこの事がバレたら…どうなってしまうのか想像もつかない。
「でも、こんな可愛いのに…」
入れ替わってもう1週間。
女子トイレの個室で、手鏡を覗き込む。
そこには自分ではない、美少女にしか見えない顔が映っている。
これが男の子だなんて、今でも信じられないのだけど。
もにゅ。
股間に伸びた右手から返ってくるなにもないはずの場所にある長い棒と小さな塊2つ。
兄弟がいない私にとっては幼い頃にお風呂で見た父親のものしか記憶がないのだけど(それもおぼろ気にしか覚えていないのだけど)、微妙な形や、色、大きさは違えどまさしくソレであることを実感している。
「ふう…」
股間に触れていた手をそのままスカートの奥へ。
下着をくいっと引きおろします。
(…履いているのは女の子の下着なんだよね…)
ピッタリとした布地から開放された股間からぽろり、と顔を出す。
股間にかかる重力は、この身体になるまで感じたことがなかった不思議な感覚。
「あ、だ…だめ」
おしっこをするはずだったのに、ムクムクと大きく固くなったおちんちんは上を向いてしまい、このままでは便器のなかにすることができなくなってしまう。
しかたなく、恐る恐る手を竿の部分へもっていく。
力加減がわからないので優しく、親指と人差し指でつまむ。
(んっ…)
軽いかゆみのような、ムズっとした感触に身体を震わせる。
私はブンブンと首をふると、そのつまんだ先を倒すように下へ向ける。
若干腰を引くように座ることで先を便器の中へ向けることができた。
チョロチョロと竿の先からおしっこが流れていく。
長い筒の中をそれなりの勢いで通っていく尿の感覚に戸惑いつつもなんとか用を済ますことができた。
あといつもどおりに紙を手に取り、股間に残った水分を拭き取る。
初日こそ混乱しながら泣きそうになりながら、目をつぶるようにして処理をしていたが、今はもうこの通り、すこしの戸惑いだけで済んでいる。
…そろそろ休み時間が終わっちゃ。
シュッと下着を引き上げると、股間のものがピッタリと覆われる。
そのすべすべした布地のこすれる感触に、せっかくおしっこをして小さくなっていたモノが再び復活して大きくなってしまったのです。
ひょっこりと下着から顔をだすように天を仰いでいるそれを収めるために私はしばらく個室から出ることができず、授業に遅刻することになってしまったのでした。
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