Author : danna (だんな) / danna_story
状態変化、TSF、獣化の片隅にひっそり生きてます。
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2018/06/29

事故からの目覚め

自分としては一瞬の出来事だ。
目を開けたとき…気が付いた時に見えたのは病院の天井と、自分の口につけられていた呼吸器だった。
気が付いたら訳のわからない状態になって暴れた自分に気が付いた看護師さんが医者を呼び、全身を押さえつけられ…。
息を荒くしてぜぇぜぇ言っている私に、医者が言ったのだ。

「落ち着いて。あなたは、半年前に、事故にあったんですよ」

私は学校から下校して、いつものバスに乗って帰っていた。
そのバスが事故にあったらしい。
一緒に…そう、彼氏と一緒に帰っていた。
そうだ、朝人(あさと)は無事なのだろうか。
息を整えて落ち着かなければ。

「あの、彼…立花朝人、くんは無事なんでしょうか」

半年も眠っていたせいなのか、声が上手く出せない。
ガラガラのしゃがれた声で彼氏の安否を医者に問う。

私の言葉を聞いた医者が、看護師が驚いた顔をする。
その態度を見て私は最悪の結果を予想する。
うそだろう…死んでしまったのだろうか、いやそんなまさか。

しかし、医者が発した言葉は、私の予想をいずれも裏切ったものだった。。

「落ち着きなさい。君は無事だよ、朝人君」

―――


私はあの後、また眠ってしまったらしい。

ゆっくりと目を覚ました私は、あたりを見回す。
看護師さんはいないようだ。
ピッピッ、と電子音だけが部屋に響き渡る。

手を使って身体を起こそうとするが、全く力が入らない。
そうか、半年も寝ていたんだったっけ。
しかたなくナースコールを押す。
パタパタという足音と共に看護師さんが部屋に入ってきた。

―――

目覚めてから3日たったころ。
落ち着きを取り戻していたのを見て医者が私へ新聞を手渡してきた。

「市内路線バスとトラックが衝突する事故があり、トラックの運転手は死亡、バスの運転手、乗客5人が死亡、1名が意識不明の重体、1名が怪我をしました。調べによりますとトラックを運転していた持田邦昼(もちだ・くにあき)さん(48歳)は当時酒に酔っており、中央分離帯を乗り越えバスに衝突したとのことです」

生存者は2名。
橋本夕葉(ゆうは)と立花朝人。

1年前から付き合いだして、家が近いことからいつもバスで一緒に帰っていた二人。
朝人のほうが部活が終わるのが遅いから、いつも校門で待っていた私。

そう、私は橋本夕葉、だったはず。
ずきずきと頭が痛む。
私には記憶がある。
家族との食事、友達と遊んだこと、朝人との会話、デート、そして…。
そう、橋本夕葉の記憶がある。
だが、ベッドの傍らに置いてある鏡は私を映さない。
目の前にいるのは…朝人。

手を動かすと鏡の中の朝人も同じようにを動かす。
顔や身体を触る。
半年間寝ていたとあって痩せこけてはいるが骨や肉付きが女の子のそれとはまったく違うのはわかる。
手もごつごつしてひとまわりもふたまわりも大きい。

「あー。あー」

出てくるのは低い声。
しゃがれているのかと思ったが喉を潤しても出てくる声は変わらなかった。
高い女性の声などではなく、変声期の終わった男の子の…朝人の声。

「はしもと、ゆうは」

自分の名前をつぶやく。
うーん。低い。

自分が彼氏の朝人になっている、というのは把握できた。
見舞いに訪れたのも、私の家族ではなく朝人の家族だったし。
そうなると心配になるのが本来の自分の身体のことだ。

「…夕葉は無事なんですか」

と、着替えを交換しに来た朝人のおばさんに聞いてみる。
自分は無事なのか、と聞いたりして混乱していた息子が落ち着いた様子を見て、おばさんは少し困ったように微笑む。

「え、ええ。あの子はちょっと頭ぶつけただけだったから…」

そっか。無事なのか。
多分私の身体のなかには朝人がいるのだろう。
私と同じように混乱して、周りを困らせたのかもしれない。

(でも、半年も私になっちゃって大変だったろうな)

戻る手段など思いつかないけど、
私が眠っている間に朝人が女の子として生活していたことを想像すると苦笑いしか出てこない。

「わた…僕が目覚めたことは知ってるのかな」

そう、入れ替わっている恋人が目覚めたのだ。
すぐにでも見舞いに来るのが筋だろう。
もしかして伝わっていないのかもしれない。

「あんたが起きた次の日に伝えたわよ。なんか忙しいからそのうち行くって…。変わったわよねあの子…」

あまりいい話聞かないし…と小さな声で呟くおばさん。

よほど女の子の生活が苦労の連続だったのかもしれない。
女の子だけのコミュニティとか、あの日のこととか男の人のそれとは違うってよく言うもんね。

「ああ、そうそう、頼まれたもの置いとくわよ」

テーブルの上にスマートフォンが置かれる。
朝人が使っていたものだ。
パスコードは私の誕生日。
まあ知らなくても、指紋認証で解除できちゃうんだろうけど。

メッセージは数十件。

いずれも朝人の友達や家族からのメッセージで
私のスマホからのメッセージは1件もない。

(…何よ、送ってくれたっていいじゃない)

しかたなく私はメッセージアプリを立ち上げ

「朝人、はやく見舞いに来てよ」

と短いメッセージを送る。

(よし、これで来てくれるでしょ)



次の日の夕方。

日が暮れて赤く染まる病室。
短く「今日行く」というメッセージだけが返ってきたスマホを眺める。
ぶっきらぼうなメッセージだがそれが朝人っぽいような気もするが…。

身体全体が気怠い。
今日も朝から歩行を含めたリハビリを数時間した。
男の身体とはいえ半年間動かさなかった身体は支え無しでは歩けないほど弱っていた。
朝人は陸上部だったのだが、それなら復活も早いわよ、と看護師さんには励まされた。
だが今もトイレは車椅子を使わなければいけない。

(トイレと言えば…)

少し視線を下…股間に向ける。
起きた当初は腕もまともに動かせないため、看護師から男性用の尿瓶を見せられたときは頭が真っ白になったものだ。
今も慣れたわけではないが、しないわけにもいかないので目をつぶるようにしてモノに触っている。

(朝人も苦労してないかな)

両手で胸板を触る。
そこには少し前まであったはずの柔らかな二つの乳房は存在しない。
衰えているとはいえさすがは男の子、胸板が厚い。

コンコン

ノックが2回、私の個室の前で聞こえる。
すりガラス越しには紺色の制服をきた女性が立っているのが分かる。
わたしは布団や服、髪の乱れを簡単に直し返事をする。

「ど、どうぞ…」

カラカラカラ…

乾いた音でスライドする引き戸。
私の視界に現れたのは紛れもなく"私"だった。
…のだが。

「朝人?」
様子がおかしい。
若干緊張した顔の私は何かをうかがうような目でこちらを見てくる。

「朝人?私、私だよ。夕葉、橋本夕葉だよ」
私の正体を明かす台詞に"私"はハッと目を見開く。
朝人もこれでわかったはずだ。私と朝人が入れ替わっているのだと。

「-はっ」

は?

「はっはははは!」

急に笑い出す"私"。

「あ、朝人?ど、どうしたの?」
「ははは…はぁはぁ。あーそういうことかい」

笑いすぎて涙を拭いながら"私"が椅子に座る。
右足を組み、太腿の間からちらりと白い下着が見える。

「あー、なんだよ。まあ演技しなくてもよくなったな」
「え、演技…?」

"私"が顔を醜くゆがめながら嘲るように笑う。

「俺は朝人じゃあない。俺は…持田邦昼ってんだ」

もちだ…くにあき…。
どこかで聞いたことがある名前だ。
いや、違う。聞いたのではない。見たことがあるのだ。


「市内路線バスとトラックが衝突する事故があり、トラックの運転手は死亡、バスの運転手、乗客5人が死亡、1名が意識不明の重体、1名が怪我をしました。調べによりますとトラックを運転していた持田邦昼(もちだ・くにあき)さん(48歳)は当時酒に酔っており、中央分離帯を乗り越えバスに衝突したとのことです」


「-うそ」
「おっと、その様子だと知っているみたいだな。そうだよ。俺は事故を起こした運転手だよ。今はその事故の可哀想な被害者だがなぁ」
「うそよ」
「かはは、うそじゃねえよ。連日連夜働かされて、あの日もむしゃくしゃしてて飲んで、そのまま走って…ちょっとハンドルを滑らせたのが運の尽き…いや始まりだったな」

"私"がスッと立ち上がり、両手を横に広げ、私に見せつけるようにポーズをとる。

「あの時はああ、死んだなと思った。だが気が付いてみればどうだ。若い身体になってるじゃねえか。最初は女の身体なんて、って嘆いたもんだったが」

片手を自分の胸を持っていく。
大きな乳房がむにゅりという音が聞こえそうなほど柔らかく形をかえ、持ち上がった。

「悪くはないな、って思ったぜ。顔もまあまあ可愛い。体形も出るとこ出てるいい女だ。みんな事故にあった俺をやさしく扱ってくれる。-事故を起こしたのは俺なのになぁ」

「あ、朝人は…?」

「知らねえよ。お前がこの身体の前の持ち主っていうなら、朝人ってやつも別の身体に入ったんじゃねえの?例えば、俺の身体とかな。-まあそれだと生きてないだろうが」

鏡ですら見たことがないくらい、"私"の顔は醜悪に笑っている。

「そんな…」

涙が溢れ出す。

「まあそんなこんなで俺はお前の人生を楽しませてもらってるよ。女子学生ってのも結構楽しいもんだな。プールとか、着替えとかな」
「!?あなた、私の学校に行ってるの!?」
「何言ってんだよ。この半年間、ちゃんとお前を演じてやってたんだぜ?」
「うそよ、すぐばれるわそんなこと」
「かはは、事故の後遺症で~とか言ってれば大体はごまかせたよ。それにお前の場合、これがあるからな」

"私"がカバンからちらりと見せたのは日記帳。
―そうか。私の日記帳をすべて見たのか。

「だから一緒の事故にあった朝人って男が、彼氏で意識が戻ってないってのもちゃんと知っていた。その彼氏の意識が戻ったって聞いたんで慌ててな」

慌てて?
そういうと"私"は自分の髪の毛をグッと掴むように握り引っ張る。
ズルッという音と共に髪の毛がすべて外れた。

「えっ…」

私の髪形に合わせたかつら…?

「ふー、あっつい」

その下からは茶色に染められた髪の毛が現れた。

「な、あなた、私の髪の毛勝手に染めたの…!?」
「あぁ?いいだろ別に。それにお前の髪の毛じゃない、もう俺の髪の毛なんだ。周りの人間は徐々に橋本夕葉が不良になっていった、と演じられてはいるが、彼氏の前でいきなりこんな姿見せたら怪しまれるかもと思ってな。ウィッグ用意してたからすぐ行けなかったんだよ」
「不良って…」
「こんなふうかな♡教師には幻滅されちゃったけど♡」

"私"のスマートフォンをこちらへ向けてくる。

自撮りした"私”だ。
茶髪できついメイクをした"私"が下着が見えそうなぐらいのスカートとブラウスを着て、見せびらかすようなポーズをとっている。

「私の身体で勝手にそんな…!」
「だから言っただろ。髪の毛だけじゃない。この身体は元はお前が使っていたのかもしれないが、今動かしているのは俺なんだ。この顔も、声も、胸も、この太腿もそしてアソコも全部俺のものなんだよ。どうしようと勝手だろ?いいじゃないか。お前も愛しの彼氏の身体になってんだろ?」
「そんな、いますぐ元に戻して、お願い…」

はぁ、とため息をつく"私"。

「戻し方なんて知らねえしなあ。戻るとしてもその朝人の身体しかないだろ?」

そう、戻り方なんて分からない。
私は今すぐに"私"に飛び掛かって頭でもなんでもぶつけたい気持ちになるが、衰弱してしまった身体は言うことをきかない。

「まあそういうわけだ。これから俺は橋本夕葉として生きていく。お前の親や兄弟とかもすべて頂いちまったけど、悪く思わないでくれ」
「ぜ、全部家族に話しますよ…!」
「やめとけやめとけ。俺はこの半年でお前の日記をすべて読んだ。小学校から毎日欠かさず書いてるなんてほんとマメだな。まあそのおかげで俺はお前の人生を追体験したようなもんだ。大体の質問には答えられるぜ」
「うっ…」
「それにこんなおかしな現象、だれが信じるかよ。別の病院に入れられるのがオチだぜ」

かはは、と"私"が笑う。

「じゃあな、退院したらまた会うかもしれないが、ちゃんと挨拶してくれよ。おはよう、夕葉ちゃんってな」

そういうと"私"は立ち上がって帰ろうとする。

「ま、待って…」
「俺はもうこれ以上話すことはねえよ。帰ってやることもあるしな」

今度は両手でそれぞれの胸をわしづかみにする。

「なっ…」

私は顔を赤くして目を伏せる。

(な、なに?私の身体なのになんで、こんな…)

その様子を見た"私"がにやりと笑う。

「ああ、お前もそうか、女から男になったんだよな。わかるぜえその気持ち」

ぐひひ、と笑いながらこちらへ近寄ってくる。
"私"の右手が、私の股間へ伸びていく。

「や、やめ…」
「あは、こっちはもう退院できるぐらい元気じゃねえか」
「う…う…」

"私”は、ぱんぱんと軽く大きさを確かめるように叩く。

「お相手してやってもいいんだが、まだ男のモノをやる気にはならなくてな。やっぱりこの年代の女の子は柔らかいからいいよな。お友達のちぃちゃんとかまっちゃんとか」

信じられない言葉が"私"の口から飛び出す。

「あなたまさか…私の友達に手を…痛っ」

”私"がギュっと私の股間を強く握りしめた。

「だから~。わかってないな~。その友達ももう俺の友達なんだってば」

"私"はそろそろ飽きたから行くわ、と踵を返し出て行こうとする。

「まあよかったじゃねえか。49歳のおっさんの身体じゃなくて、同年代の男の身体なんだ。じゃあな」

パタン、と引き戸が閉まる。
私は朝人の死、私の中身、行動…信じられない出来事の連続に、何も考えることが出来なくなった。


それから半年後。
退院して1年ぶりに通う学校に"私"の姿はなかった。
あれからそれ程しないうちに素行不良、不純交遊、酒タバコと次々に問題となり、あっさりと退学。
そして家からは半ば勘当されるような形で家出をしてしまったらしい。
事故のトラウマ、後遺症、彼氏が植物人間だったショックが原因だろう、と噂されている。

―真実は私だけが知っている。
あの日、私の中身がどうしようもないオヤジと入れ替わってしまったこと。
自分のコントロールから離れ、知らないうち汚され、落ちぶれていった私。

でも、私には"朝人"の身体がある。
朝人はもういないけど、ずっと一緒に生きていける。
もう私はあの"身体”に未練はない。探す気もない。
そう自分に言い聞かせて生きていくのだ。

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