Author : danna (だんな) / danna_story
状態変化、TSF、獣化の片隅にひっそり生きてます。
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[8月の作品] ある日を境に訪れた、身体だけが徐々に入れ替わっていくお話 Booth
[9月の作品] 健康診断でレンタルボディ Booth
[10月の作品] 白い部屋 Booth
[11月の作品] 冒険者が魔物の身体にされてしまったお話 Booth
Boostしてお買い上げいただいた支援者の方にはここで厚くお礼申し上げます。

2018/05/18

付喪神とドレスと魔法少女

「見つけたわ!みんなを元に戻しなさい!」
「くくく…」

少女は数日前から街中で人々が意識を失い倒れる事件を追いかけていた。ようやく魔力の痕跡を見つけ、怪しげな男を発見したのだ。



「この先は行き止まりよ!」
足早に逃げる男を追いかけ、とうとう袋小路へ追い込んだ。
 男は不敵な笑みを崩さない。
「…貴様が魔法少女だということはわかっているぞ」
「!…わざと誘導したってわけ?ずいぶんと自信家ね」
少女が右手を上空に掲げると 1本の光輝く棒が現れる。
ぶん、と振り下ろすと光が霧散し、手には1本のロッドが残った。
「今までの他の怪人もどうなったか、知らないわけじゃないでしょう」
「…」

男は何も返事をしない。
少女は魔力を開放する。

「変身っ!」

全身を覆う眩い光と共に着ていたTシャツがピンクのドレスへ変化していく。
短いデニムパンツはフリルが多くついたふんわりスカートに。白い短い靴下はハートマークがあしらわれたハイソックスに。
中学生にもなってこんな典型的な魔法少女なんて…とは本人も思っている。

 「魔法少女リリィ見参!さっさと終わらせるわよ!」
「くくく… お前は今回犠牲になった人達がどんな目にあったか、わかっているのか?」
商店街全体で意識不明で倒れた人々。
病院へ搬送されたが皆意識が戻ることなく、植物人間のような状態だという。
 「昏睡状態…と思っているのなら、浅はかだぜ!」
男は高く飛び上がると少女めがけて光弾を放つ。

(!しまった…!マジカルガード!)

少女はとっさにマジカルガードを唱える。
光弾が自身の周辺で爆発を起こす。
この魔法は耐衝撃を備え、気絶、痛みや出血を軽減する。対象が魔法であろうが、物理であろうが問題なく発動する。
 -はずだった。

(えっ…?)

感じる違和感。
何が起きたかわからない、身体の感覚が一瞬で喪失した。


(視界は…問題ないけど、身体が動かない…!)

「ははは…。攻撃だと思ったか?残念だったな」

男がのしのしと不用心に近づいてくる。

(う、動いて、身体…!)
 男が手を伸ばしてくる。
 (え、どこに手を…?)
男の手は少女の視線の少し上へ伸ばされた。
何かを撫でまわすようにする仕草。しかし自身が触られているという感触はない。

そこでようやく感じた違和感。
(視界が少し低い…?)
いつも見ている視界より30cm程視界が低いのだ。
男がより一層高く見えるのもそのせいだろう。

「しかし、ひどい少女趣味だな。ゴスロリっていうんだったか?しかもピンク」
 男がそう言いながら手を少女のほうへ降ろしてくる。

「ま、そんなドレスになった感想はどうだい?リリィさんよ」

…は?
何を言って…。

「おっと、理解できないか?俺の能力は"付喪神"といってな。魂が宿っていないあらゆるものに魂を移すことが出来るんだ。お前さんはもう魔法少女じゃなくて、その衣装なんだよ」

男がドン、と少女を押す。
少女は身体の中央にある異物がぐらぐらと揺れるのを感じる。
ついにその揺れが限界を迎え少女はその異物に引っ張られるように、空を仰ぐように倒れた。
その身体に纏っていたドレスにされた少女は何もできない。


(お、起きれない…本当に私、服になっちゃったの…?)

「一撃必殺、ってのは俺の能力みたいなことを言うんだ。さて、ロッドを回収するか」

男は少女が右手に握っていたロッドを引きはがした。
すると少女の身体が再び光に覆われ、その光が男の持つロッドへ集まっていく。
(やばい。へ、変身が解除される…!)
少女が意識を失ったときにロッドから手が離れると変身は自動解除される。

光がどんどんとロッドへ吸収されていく。
少女の服装は元のTシャツ、デニムのショートパンツに戻った。
まだ、少女は寝ているかのように全く微動だにしない。

(ってええええ?)

少女は心の中で絶叫した。
その光と一緒に少女の意識はロッドに収まってしまったのだ。
少女の目の前では、自分自身がぐったりと倒れているのが見える。

「おっと、これは予想外だな。Tシャツか短パン、はたまた下着になるかと思ったが魔法少女の衣装そのものについていくとは」

男はロッドを空中へ何度かくるくると放り投げる。

(め、めがまわ…)

男はニヤリ、と笑う。
「そうだ、俺が今このロッドを使ったらどうなるのかな…」
(あ、あなたなんかに使えるわけないじゃない!)
そう、ロッドは誰でも使えるものではない。
ロッドに選ばれた少女でなければ魔法少女にはなれない。ロッドは動かない、答えない。

「くくく…俺の能力は何だったか、忘れてないかい」
―付喪神。
少女に嫌な予感が走る。
男が手のひらを男自身に向ける。
(や、やめて…まさか!)
 「ふんっ!」
どん、という爆発と共に目の前の少女がむくりと起き上がる。

意識を失っていたはずの少女が男のような口調で話し出す。
「いったろ、魂の宿ってないものに魂を移すことができるって。お前の身体は空っぽだったからな、頂いたぜ」

(う、うそよ…)

少女の手が、ロッドを再びつかみ、空高く掲げる。

(や、やめ―)

「変身っ!ってなぁ!」

一帯を覆うまばゆい聖なる光。

「ははは!こっりゃああいいや!すごい魔力だ!!!」

その光の中で、魔法少女の身体となった男がいた。
そして、ロッドに閉じ込められていた少女の意識は一瞬の解放感と共に身体が散り散りの粒子になった。
その粒子は魔法少女の身体が纏うドレスの形を構成していく。
光が完全に収まった時、少女の視界は掲げられたロッドから、ドレスの胸当部分に移動した。
 (わ、私、またドレスになったの…?)

「さーて、これから街へいってみんなに魔法少女の力を見てもらうとするかあ!」
(!、なんてことを…!そんなことはさせない!)
 少女がギャハハ、と下衆な笑いをする。
「ははは、そんな布きれになったお前に何ができるんだ?お前はもう魔法少女じゃないんだよ!俺が傷つかないように守ってくれてるドレスちゃんなんだよ!」

少女がロッドを振り下ろす。
少女の足元に倒れていた男の身体が、塵となって消え去った。
「もう、元の身体は不要だからな。今日から俺がお前の身体を使ってやるよ…!」


その日から、魔法少女は人類の敵となった。

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