2018/05/18

付喪神とドレスと魔法少女

「見つけたわ!みんなを元に戻しなさい!」
「くくく…」

少女は数日前から街中で人々が意識を失い倒れる事件を追いかけていた。ようやく魔力の痕跡を見つけ、怪しげな男を発見したのだ。


2018/05/16

高原さんと憑依能力

今は数学の定期テスト中で、教室の中はペンを走らせる音以外は静かである。
監督の教師は教卓の前で肘をついたまま、眼をつむっている。

(…さすが高原さん。もう終わったのか)

隣に座っている女生徒は学年トップの成績を誇る高原さん。
長髪でラフな印象がある彼女だが、いわゆる天才、言動はクールで、浮いた話は一切聞かない。
クラスでも特定の女子グループになじむことはせず孤高を貫いている。
そんな彼女はすでに解答を終えて伏せて寝ているようだ。
答案は裏向けになっており、解答を見ることはできない。
(むふふ…じゃあお邪魔します…高原さん)
僕は高原さんと同じように机に伏せ、高原さんと"全く同じポーズ"を取る。
これが僕の最近目覚めた能力発動のキーである。
30秒後、一瞬の浮遊感を得ると成功の合図だ。

紹介

トルソーにインストールの設定を生かしていただいて
克浦さんに続きを書いていただいております。

とても面白いのでぜひご覧ください。

ぼくの考えた「トルソーにインストール 4」の続き
ぼくの考えた「トルソーにインストール 4」の続き 2
ぼくの考えた「トルソーにインストール 4」の続き 3
ぼくの考えた「トルソーにインストール 4」の続き 4
ぼくの考えた「トルソーにインストール 4」の続き 5


トルソーにインストール 5

ざーっ。
暗闇の中でも雨音が聞こえる。
一定のテンポで揺れる鞄の中。
恐らく"私"は家へ向かって歩いてる。

トルソーにインストール 4

一体何が起きたのか…。
一瞬にして感覚が消失し、身動き取れなくなってしまった身体の感覚に戸惑う。
いや、落ち着いて確かめてみると、本当に僅かであるが身を左右によじることができるようだ。
とは言え元の体の感覚からすると1mmにも満たない可動域だが…。

トルソーにインストール 3

女子トイレ。
既に放課後であり、特別教室ばかりの棟のトイレを使用する生徒はほとんどいない。
ただ1つ、一番奥の個室だけが使用中である。
中では1人、女子生徒が目をつぶったまま座っている。
女子生徒は用を済ます様子もなく、目を閉じたまま浅い呼吸を繰り返しで、寝ているようにも見えた。

トルソーにインストール 2

文化祭が終わってから、私はどうにも実験部の部室に寄ることが出来ていない。
我らが実験部のお化け屋敷は大成功をおさめた。
化学を利用した恐怖体験は生徒はもとより、教師にも好評だったのだ。

(結局私が一番反響があったけど)

トルソーにインストール 1

「これ、なんです?」

放課後、いつもどおり実験部の部室を訪れた私は部長に声をかける。
昨日までは何も置いてなかった机の上に、肌色の女性体のトルソーが置かれている。

2018/05/09

魔王討伐、その後(完)

「…まさか最後の最後でこんな呪いなんて」
魔法使いのマリアがため息をつく。
「禁呪に近い魔術のようで…私レベルの解呪でもびくともしません」
神官のメリッサも同じ困り顔だ。
「でもよう、ほんと無事でよかったぜ」
パーティ1の屈強な戦士、モーガスは酒を浴びるよう飲む。
「…すまない、みんな」
勇者が3人に謝罪する。
「どうか顔を上げてください、勇者様」
勇者様と呼ばれているのは女性だ。その服装は街で買った庶民の安い服なのだが、その服ではごまかしきれない美しさが見て取れる。それもそのはず、その女性はアストリア王の一人娘、王女ミアであった。
そして勇者様と呼んだこの青年はというとアストリア国の騎士団の精鋭、王から直々に魔王討伐を依頼された勇者そのものであった。
「しかしミア、僕は…君の身体を…」
王女が勇者をミアと呼び、勇者が王女を勇者様と呼ぶ。
お互いがお互いの名前で呼び合うこのおかしな状況には、理由があった。


2018/05/05

23歳、入園する(2)

美星はテーブルの上に置かれた幼稚園児の服装を尻目に、PCを立ち上げ、今回の件について調べる事にした。

2018/05/04

ぬいぐるみにされ、乗っ取られる陸上部員


ランニングを終えた私はシャワールームへ入る。
シャワーを浴びながら、鏡に映る自分の姿を横目で確認する。
(うーん、だいぶ筋肉ついてきて、絞れてきてるけど。もうちょっと筋トレしないと)

私は陸上部員ではあるが、競技自体を熱心にやっているわけではない。
あくまで自分のプロポーション維持のために頑張っている。
筋トレを毎日少しやっていたら、友達から褒められるようになり、それが今の私のモチベーションにつながっている。
クラスの中にはこの苦労を知らずに私もそうなりたいだのうらやましいだの言ってくる人はいるが、そのために私は日ごろから毎日たゆまぬ努力を続けているのだ。

2018/05/01

23歳、入園する(1)


今年で社会人3年目となる美星が家に帰ると待っていたのは黒いスーツを着た3人の公務員であった。