2018/04/09

水泳補習少女

俺の名前はキヨヒコ。
帰宅部で追試赤点もない、平々凡々な学生だ。



そんな俺がなぜか夏休みの朝、学校で水泳の追試を受けている。しかもなぜか今俺がきているのはいわゆる女子のスクール水着。
肩紐が肩に食い込み、上半身もぴっちり覆う布の慣れない感触と、周りから笑われているのでは、という羞恥心の2つが俺を襲う。
いや、今、俺が女子の水着を着ているのはおかしくないのだ。なぜならば...
「次、25m、白井美紀!」
「はいっ」
この身体は俺の幼なじみで、彼女である美紀のものだからだ。


今朝、深刻な顔をした美紀が俺の部屋に上がり込んできた。
起きたばかりだった俺は寝ぼけながら話を聞いていたのだが、要約すると一学期に水着を忘れた、体調不良だ、生理だで水泳の授業を避けて休みまくった結果、追試を受ける羽目になったのだという。
「いや、おまえ泳げるじゃん。追試は泳げたら終わりだろ」
「今日はどうしても行けないの。東京でイベントがあるんだよね...」
趣味の同人ってやつか。
「でも今日さぼると補習になっちゃうの避けたいんだよねー」
なるほど、補習は確か二週間ぐらい毎日あったはずだ。
できるだけ追試でおわらせたいのはわかるが
「だから、キヨにお願いがあるの」
俺になにができるんだ?


「しかし、まさか体を入れ替えることができるとは...」
俺は天を仰ぐ。俺の身体はいまごろ東京行きの列車の中だろう。
同人趣味はほかには内緒にしている手前、事情を知っている俺に白羽の矢が立ったのだった。
というかこれじゃあ俺がそっちの趣味を持ってるみたいになるじゃないのだろうか。
ともかく、頭同士をぶつけるというまさかの古典的な方法で入れ替わった俺は、女子制服を身につけた白井美紀として学校のプールへ向かわされたのだった。
水着は下にもう着てるしキヨなら大丈夫と言われたものの、たぶんあいつ終わった後の着替えのことは考えてないと思う。

「ふーっ」
元の自分の体とは違い筋肉が弱いためか、思った通りに動かせていない感じはするがひとまずは難なく泳ぎ切る。
水面からあがると、布面積が多い分水着から落ちる水が男の時よりも多く腿から脚へと滴る。
その水着の付け根から覗くふとももは、昨日までみてきた筋肉質で毛が生えていたものではなく、白くて、ふくよかで、やわらかそうで、だけど膝に向かってシュッとしまっている。
足も男とは違う、毛1本生えておらず、これまた小さな指にちょこんと爪が覗く。
俺は思わずその艶めかしさにつばを飲み込んでしまう。
胸は紺色の生地で覆われており、そこには大きな膨らみが存在している。この胸も若干泳ぐときに抵抗として働く。
(それにしても美紀のやつ、相当に着やせして見えるんだな)
無意識に手を大きなふくらみに当ててしまい、同じ追試を受けているクラスメイトに指摘されて我に返る。
「なに、またキヨに胸小さいとかいわれたの」
「い、いや、そそんなことないよ」
慌てて手を引っ込める。
というか、またってなんだ。昔一回いっただけだぞ。
「そうなの?美紀ってば、いつもぼやいてたじゃない」
すごい落ち込ませてしまったのでそれ以来胸の話題は一度も振っていない。
あれから数年も立つというのにずっと覚えているようだ。悪いことしたな。
「美紀はもう育ちに育って平均以上だというのにキヨのやつは贅沢ですなあ、どれどれ」
そんなことをいいながら俺の胸に触ってくるクラスメイトを振りほどき、俺は残りの追試を消化するために飛び込み台の方へ向かう。
程良く濡れている水着はよりいっそう肌に密着し、今自分がどんな体型をしているかを鮮明にさせる。
ウェストは細く、胸とお尻は大きい。
股間部分も盛り上がる部分はなく、ぴったりと布地が張り付いているのが感じられる。
男のそれとはまた違うメリハリが俺を襲う。
(なんかこの締め付け感…初めてなはずなんだけど、美紀の身体だからか、そうじゃないような、不思議な感覚だな…。慣れないけど、なんか気持ちいいかも)
「白井!なにボーッとしとるんだ。50mいくぞ!!」
「は、はい!」
いかんいかん、美紀のためにもちゃんとやらねば。


「で、足をつって、追試失敗と...」
「めんぼくない」
イベント帰りの俺の体に深々と頭を垂れる。
俺はというとあの後、痛みで測定を続行することができず、そのまま四苦八苦して着替えをしたのだった。
「まあでも美紀の補習は1週間だけになったし、な?」
「そうね、じゃあ返すのは1週間後でいいわよね?」
「はっ?なんで?お前がいけよ」
目の前の俺が持つのは福岡のイベントらしきチケット。
「明日別ジャンルのイベントで福岡だから」
「お、おい嘘だろ」
「男の体でイベントいくと楽なのよ、荷物とか」
いや、そりゃそうだろうがけど...
「いいじゃない別にケチケチしないでよ。...私の裸みたくせに」
「着替えないと帰れないだろ!!」
「ほーう。-胸、おっきくなってたでしょ?」
「いや、そ、それは...」
美紀は俺の体でニヤリと笑う。
「大丈夫、私の身体、キヨなら1週間なら好きにしていいよ」

......
...
それから1週間、俺は毎日学校のプールへ通ったのだった。

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