Author : danna (だんな) / danna_story
状態変化、TSF、獣化の片隅にひっそり生きてます。
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2018/04/04

取扱変更届(1)

「今週までが期限となります、必ず提出するようにしてください」
母と私の目の前に座る役人がA4の用紙を2枚こちらに寄越してくる。

「ご本人にとって大変だとは思いますが、慎重にご検討ください」
「…はい」

母は神妙に頷く。

「じゃ、遥、帰りましょ」
「…うん」


用紙には立花遥 16歳と私の名前と年齢が記載されており、
その下には今年2歳になる妹の悠(ゆう)のものが記載されている。
もう1枚は同じ用紙だが、記載の位置がお互い逆になっている。

私は母の手を支えにして椅子から降りる。
私は椅子に座るのも降りるのも1人では難しい。
なぜなら今の私の身長は1mにも満たない。

信じられないかもしれないが、私と悠の体が入れ替わってしまったのだった。

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家に帰ってきた私は、床にぺたんと座って、書類を小さな手で抑えながら読む。

自分の体と魂というものは密接に結びついている。
たが、稀に、本当に稀に自分の体より相性がよい体と強く接触すると、魂がそちらへ移動してしまうことが研究の結果わかったのだ。
俗に言う入れ替わり。
もちろん、相手の魂も自分の体がよりよい器である必要があるので、発生する確率は飛行機事故にあうか、宝くじがあたるかどうかと等しいらしい。
私の場合はそれが2歳の妹だった、というだけだ。

「はぁ…どーちてこんな…」

未発達な体なせいで、16歳のときには出来ていたような動きはできない。
お風呂も着替えも食事も全部1人ではできなくなってしまった。
入れ替わりをしても今まで得てきた知識や知能は問題なく使えるのだが、それが返って残酷な現実を理解できてしまう。

「あ、お姉ちゃん帰ってたんだ」

もう一人の中学生の妹、久遠がひょっこり顔を出す。
3つ下の妹の顔。いままで見下ろしてきた久遠の顔がはるか上空にある。
私が立ち上がって並んでも彼女の腰あたりが精一杯だろう。

私が眺めていた書類に気がついたのか1枚を手に取る。

「…これどうするの?お姉ちゃん」

"本人取扱変更届"
この書類は今まで通り高校生として扱ってもらうか、体にあった扱いをしてもらうか。
それを決める手続きである。
前者であれば今まで通り高校生として学校へ通うことはできる。
(もちろんそうしたい…でも)

この身体で高校生活が送れるかどうか、と自問自答すると疑問符がつく。
まず2歳児の身体は体力がない。
通学も1人では出来ないので親に迷惑をかける。運動も無理だろう。
睡眠が散発的なので日中起き続けていられないので授業も半分以上無理だろう。
現に役所を往復してきた(しかも途中からは母の抱っこ)だけなのに、うっすらと睡魔が襲いつつある。

(それに…)
私は自身の下腹部に目をやる。
無理やり履かされた黄色い短めのスカートの下。
ふっくらとした盛り上がりを見せるそれはもちろん、オムツである。

まだ自立神経が発達しきってないのか、尿意を感じる間もなくしてしまっているのだ。
16歳の少女としては耐え難い屈辱なのだが、意識をどれだけしても身体が感じてくれないのではどうにもならない。
入れ替わった当日には母親と久遠の「申し訳ないけど…」という顔でオムツをがっちりと装備させられてしまった。
こっそりと取り外していたのだが、そのときに漏らしてしまい、次やったらお尻叩くからね、と脅されている。

自分で外すことはできても着けることができない。正確にはできるのだがどうしてもきっちりと付けられず、隙間ができてしまい機能をなしていない。
つまり学校へ行っている間のオムツの交換の問題も発生するということだ。
クラスメイトになんて頼むのは無理だし、先生もそんなことはしてくれないだろう。
母や妹を呼ぶわけにも行かない。
高校生として扱われる以上、高校生としてできることはやらないといけない。
現状の法律はそこまでフォローしてくれないのだ。
これはそもそも入れ替わり起きるのが本当に確率が低いこと、そしていままで日本で発生した事例がすべて年齢が近いもの同士の入れ替わりであったということにも起因する。
例えばこれが久遠との入れ替わりであったのなら私は迷わず高校生を選んでいるだろう。

(…もう1つの選択肢…)

身体にあった扱いをしてもらう。
つまり再び2歳児として生きていくということだ。
名前や戸籍上の年齢はそのままではあるが、社会的な扱いは2歳児となる。
つまり中学どころか小学校、幼稚園からやり直しとなるわけだ。

(知能は高校生相応なのだから勉強は心配しないでいいとはいえ…)

高校生としての自意識が幼稚園児として扱われることを生理的に拒否している。
「久遠、悠の様子はどう?」
私は妹の質問には答えず、自分の本来の身体とその中に入っているもう一人の妹の様子を尋ねる。

「あー、うん…」

ちょっと答えにくそうに視線を天井に向ける。

「元気…だよ。ちょっと機嫌悪かったのか、さっきまで大泣きしてたけど今は積み木で遊んでる」
「…そっか」
「大変なんだよー。力はお姉ちゃんの身体なんだから抑えるの大変」

久遠は苦笑いする。
私もつられてハハ…と力なく笑う。

2歳の悠が16歳の身体にいきなりなったからと言って賢くなるわけではない。
大人の身体で暴れる子供ほど制御できないものはないだろう。

(悠もいきなり勝手が変わって戸惑ってるんだろうな)

「あ、あとさっきオムツも交換したかな…えへ」

照れくさそうにする久遠。

我慢するということを知らない子が制御できる身体を持ったとしても意味がない、ということだろう。
自分が2歳児の身体でお漏らしをしてしまうこともかなり恥ずかしいのだが、つい最近まで自分の身体だったものが粗相をして母親や妹に処理してもらっているの目の当たりにするとうっかり死にたくもなる。

「…ね、お姉ちゃん」
「ん?」

急に神妙になる久遠。

「戻ることって、できないのかな。また頭をごっつんこして…」

私と悠が入れ替わったのは久遠の言った通り、頭同士をぶつけてしまったことによるものだ。抱っこをしようとしたときに暴れた悠が原因である。

「むずかちいんだって。お互いの魂が、こっちの身体のほうがいい!っていう状態なんだって」

化学反応のように、結びつきが強い者同士がつながってしまい安定してしまった状態である。頭をぶつけるだけではもう入れ替わることはないだろうとは医者の弁である。

「ほんと、困るんだけどなぁ…」

自分の魂、身体なのにままならない。
もうため息しか出ない。

「そっか。じゃあどうするの?」
「………まだ決められない。多分悠のほうは決まってるけど」

中身が2歳なので高校生として扱ってもらうことは不可能に近い。

「お姉ちゃんの身体が幼稚園通うの見るのは辛いかも…」
考えないようにしてたのに、スモックを着て幼稚園で砂場遊びをしている私の身体を想像して更に憂鬱となる。

「流石に他のこと一緒にできないから、特別施設の幼稚園とか小学校になるとは思うけどね…」

まあ、幸いに期限まで後5日ある。
書類を提出するまではどちらの立場でも生活してよいといういわゆるお試し期間である。
いまのところ高校と…幼稚園に毎日交互に通うことになっている。

「明日はとりあえず、学校行ってみるよ、そこで…頑張れるか試してみる」
「そうだね、できるかぎりやってみるしかないよね」

ぐっと両手を握ってくる久遠。
おおきな手が自分の小さな手を包み込む。
応援してくれる久遠を見て頑張ってみようという気持ちになる。

隣の部屋からわーん、という大きな声が聞こえてくる。
悠が1人で寂しくて泣いているのだろう。
今の私では危険なので悠をあやすことはできない。
久遠はしょうがないわねーという感じで立ち上がる。
私の頭を2-3回撫でると、頑張ってね、とだけ言うと悠の部屋へと向かっていった。


つづく?

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