ふと鏡を見ると違和感がある。
「…俺ってこんな顔だったっけ?」
親に聞いたら何を馬鹿な事を言ってるのだ、と飽きれられた。
妹にも「何?ナルシストなの?にーちゃんやべー」と言われる始末。
「…うーん」
角度を変えて自分の顔を見る。
こんな顔小さかったっけ、俺…?
水泳で鍛えた身体に対して顔、小さすぎない?首、細すぎない?
(日焼け止め、塗ってたっけ?)
首から下は日焼けしまくっているのに首から上は透き通るように白い。
髪の毛もこんなに長かったか…?
肩から胸の間ぐらいまで伸びた、茶色に染めてある髪に手を触れる。
1本1本が細くて長く、サラサラと手から溢れる。
もっとプールの塩素でボサボサだったような。…気のせいかなぁ。
俺は"いつもののように"軽くヘアアイロンをあてて毛先をカールさせる。
後ろの髪は手でざっとまとめあげ、ゴムで結ぶ。
ばっちり決まった。
はて、目もこれだけパッチリしてただろうか。
睫毛もこんな長かっただろうか。
眉毛、俺整えてたっけ…?整えてたかな。
ちょっとだけ気になるところを小さなハサミでカットをした。
んー…唇、こんな厚めというか…艷やかだっけ。あー、と大きく口を開けてみる。
白くきれいに並んだ歯とチロリと見える小さな舌。ふむ。
「なんか変だなあ…まあでも急に顔が変わるわけがないよなあ」
…あれ、声も高くなってるような。
前はもっと低かったような…いや、前からこの声だったような。
うーん、わからん…っとそろそろ時間だ。
急いで学ランを取り出して着替えて再度鏡を見る。
俺ってこんなヒョロっとした顔だったかなぁ…。
なんというか学ランより女の制服の方が似合いそうな…。って何考えているんだ。
寝ぼけてるな俺。早く学校行こ。
0 件のコメント:
コメントを投稿