2018/04/09

違和感(3)

僕はいつからか気がつけば、物と物を付け替える能力を得ていた。


付け替える対象に制限は特に無い。
生き物であっても無機物であっても付け替えることができる。
付け替えられた対象は付け替えられたことに気がつくことなく、気がつかれることもない。

まず最初にクラスメイトの男子(名前は知らない)とテレビによくでてくるグループアイドルのメンバーの1人(こちらも名前は知らない)の頭を入れ替えてみた。
脳みそは元のままにした。だってそっちのほうが面白そうだったから。

いまクラスでは美少女の顔をした男子生徒がその友達と談笑している。
友達も話している相手の顔の変化に違和感を持たない。
その男子生徒の顔はその顔であることが当然であるからだ。

(とはいえ、化粧をして髪の毛もバッチリとは…。この能力、奥が深いな)

付け替えられた物が持っていた性質を受け継ぐのか。
当人も自身の見た目に違和感を持っている様子はないから、恐らく至極当然にメイクをしたのだろう。いままで一度もしたこと無いはずなのに。

(今、テレビを見れば ムサイ男の顔をしたアイドルが見られると思うけど)

興味が無いので一切見るつもりはない。
そういうのが好きな人もいるのかもしれない。
とはいえ、平凡な男の面でアイドルの人気が続くのかどうかは気になるところだ。

続いて変えたのは動物(カエル)と人間。
こちらも想像以上に滑稽な光景が見られた。
彼女の家の近くの田んぼを見渡せば、人間の身体をしたカエルがうろちょろしているのが見られるはずだ。ただ、最近カエルの身体の彼女は学校に来てない。踏まれちゃったのかな。

そして今日、試しているのはクラスの女子との身体の交換だ。
最初のケースとはちょっと違う。頭はそのままに首から下だけ交換してみるのだ。
似ているようで同じではない、この違いがわかる同士はいるのかな。

僕は身体を見下ろす。
紺のセーラーカラーに短いスカート、そして健康的に焼けたやや筋肉質な陸上部のおみ足。セーラーの下はお世辞にもあるとはいえない胸の大きさで、付けているのはいわゆるスポーツブラジャーだ。
視線を教室の入り口近くに向けると、そこにはポニーテールをした女の子が席に座っている。身体は真っ黒な学ランを来た男子だけど。
その身体は相撲部か、というぐらい太っており、 学ランのサイズも特注サイズだ。
若干息苦しいのか、彼女は常に口呼吸をしている。


(さて、この状況で、僕の存在はどうなのかな。僕は"僕"のままなんだろうか)

セーラー服のポケットから生徒手帳を取り出す。
パラパラとめくるとそこには僕の名前。
性別には男に○が打たれている。

(ふむふむなるほど、世界的には僕は僕のままなのだな)

身体が女の子にはなっているけど、みんなは僕を男として扱うのだろう。
身長が低くなって、体重が軽くなって、セーラー服を着ててもスカートを履いてても、誰も違和感を持たない。
この状態で彼女を作って行為にまで及んだときに生ずる矛盾はどう解消されるか。

あり得ない状況を無理やり発生させているのだ。
なにかしら起きるのかもしれない。例えば大爆発とか、なんてね。

(ま、この状況はとりあえず楽しまないと損かな)

今日は動きやすい身体を手に入れて気分がいい。
ついでにもう1組なにかを交換してみよう。

思いつきで、大きい物同士を交換してみる。

(…うわ、あれはちょっと)

僕も若干ドン引きだ。

教室後ろ、窓側で談笑している男子グループのうちの1人の股間が破裂しそうな水風船のような大きく膨らみを持っている。
その圧倒的な存在感を出した膨らみに対して周りのクラスメイトはなにも指摘しない。
そう、それが当たり前だからだ。
彼のモノが乳房の形をしていることは。

交換にあたってどこから交換するか悩んだが、
結局は玉2つは残して、竿だけ1つの乳房と交換することにした。
なので正確には3つの袋がぶら下がっていることになる。
生殖としての機能は問題ない…はずだ。
ただし海綿体ではなく、脂肪なので彼が興奮したとしてもこれ以上固く大きくなることはない。
そして同じ頭の部分…乳頭から発射することになるとは思うのだが…。もし入れることになっても1cm程度の長さしかないので、いくらなんでも荷が重いはずだ。
(もしかしたら普段の排泄も難しくなってるかも…)
柔らかいままのモノでは定めもつけにくいかもしれない。
両手で包むように持てばいけるかもしれないな。


そして彼の息子の移動先は…日直をしている委員長の右胸である。

(あ、でもさすがにわからないや)

ブラジャーやキャミソール、そしてセーラーに隠れてしまっているのかどうなっているのかをうかがい知ることが難しい。
左胸に比べて右胸が若干不自然に見えるが、その程度だ。

(興奮した時にどれくらい大きくなるか、楽しみだな)

なんせ、クラス1の大きさの息子である。
平常時はともかくとしていざコトになればその存在感をアピールしてくれることだろう。

さーてとりあえず彼らはほっといて、僕はこの身体を堪能しようっと。

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