2018/04/30

あなたを着てさしあげます

遅くなっちゃった…バス間に合うかな。
水泳部の練習終了後、顧問に呼び止められ話を聞いていたら既にあたりは暗くなっていた。
でも、顧問から告げられた次回の大会の選手に選ばれたという喜びは大きい。
いつもより暗く心細いバス停までの道のりも、この興奮と嬉しさの前には屁でもない。
ライバルも多い中で、毎日遅くまで残って練習したかいがあったというものだ。
強豪校の代表選手、これはもう大学推薦も夢ではないですなあ。
うふふと内心笑いながら角を曲がる。

2018/04/27

どっちを選ぶ?

教授に試作品ができたから見に来てほしいと言われ、
私(ナオ)とリンは教授の研究所までやってきたのだった。

2018/04/24

VR牧場体験(1)

大きな建物が見えてくる。
広い平野の中にあるその建物は明らかに異質であった。

2018/04/23

付喪神と制服と私

九十九と書いてなんと読むか。
知ってる人も多いだろう。「つくも」と読む。
古語で「つく」は"つつ"、少し足りないという意味。「も」は"百"である。
つまり、百に足りない、という意味だから、九十九が当てられている、という説。
白髪のことを百から一が足りない、ということで九十九髪と書いた物語もあり、また「付喪」神も同様の語源を持っていると言われる。
長い間使われた道具に魂が宿る、と言われるがその期間が約百年ということからツクモ神、らしい。
なぜこんな話をするかと言うと、その「付喪神」が私の前に現れたからだ。

2018/04/20

夜はリベンジ

あれから1週間。
尿意が我慢できるようになり、オムツの中で粗相をすることもなくなってきた。
春香もそろそろ外してもいいかもねと言ってくれた。

2018/04/19

昼はトレーニング

赤い魔法少女との(一方的な)戦闘から数日。
アパートの一室に少女がベッドに突っ伏している。
少量だったとはいえ、今まで溜めてきた瘴気をすべて奪われてしまい、もとに戻るまでの期間が延びてしまったショックで立ち直れていない。

2018/04/18

夜はもうひとりの魔法少女と

自分の背丈よりも高い杖を両手で掲げ、呪文を唱える。
一瞬の光とともに衣服が魔法少女のそれに変化する。ピンクのゴシックロリータ...春香が言うには甘ロリ系に属するドレスを身にまとった俺はビルの上までひとっ飛びする。

2018/04/17

昼は小学4年生



「目立たないようにしないとね」
これはいい意味でも悪い意味でも目立つなということだったらしい。
まずは春香のお古だと流行遅れだから、という理由で服を買いに行かされた。
デニムジーンズやパンツは古くても使い回せるからと、スカートやワンピースを主体に買い揃える。

2018/04/16

夜は魔法少女

「トゥインクルレインボウシャワー!!」
自分の身長より遥かに長いマジカルステッキから虹色の粒子が飛び出し、目の前の黒い瘴気を吸収していく。
黒い瘴気が残らず消えたことを確認すると、少女は再びステッキをかかげ、あたりに漂う虹の粒子を回収する。
「ふう、これだけあれば数日は持ちそう」
少女の齢は身長と見た目からして10歳ぐらいだろうか。
ピンクを基調としたドレスは、私は魔法少女ですと言わんばかりのコテコテな衣装だ。ウェストからふんわりと膨らんだスカートにフリルが装飾されている。
そのスカートも決して長くはなく、膝上より短いため、少しかがめばパニエが覗く。

2018/04/13

私が本物

とある王国。
その王国は、王が国を治めるには充分な才能とカリスマ、そして厳しさも持っていたが、娘にはほとほと甘いことで有名であった。

ある日、王女アルカの十五歳の誕生日に、国中を上げての祝賀が催されることになった。

「我が娘を祝う品を献上せよ」

娘に甘いことを除けば、立派な国王。
それはそれは信頼も厚く,国中の職人は腕によりをかけて傑作を作るのであった。

2018/04/11

転生症 -エルフの場合-

転生症2 -エルフ-

「わ…!」
「きれい…」
「相変わらずすごいな、あれ」

転生症 -サキュバス-

「おはよー、タイチ」

幼馴染で彼女である私は、先月ぐらいから彼氏であるタイチを起こすのが日課となっていた。
彼の為に言っておくと彼は元々朝が弱いとか、自分では起きられない、ということは一切なかった。
だが、今の彼はどれだけ日が窓から差し込もうと、私が部屋に入ってきても起きることはない。

2018/04/09

違和感(3)

僕はいつからか気がつけば、物と物を付け替える能力を得ていた。

水泳補習少女

俺の名前はキヨヒコ。
帰宅部で追試赤点もない、平々凡々な学生だ。

2018/04/07

変化ウィルス(3)

「えーと、み・ず・を・の・ん・だ・ば・あ・い」

検索サイトで対策を調べてるアキ。
ある程度水は排出されたのだが、身体内部のいたるところで水が残っている感触がわかる。

映し身

※取り留めのないお話です。

2018/04/06

違和感(2)

うーん。もう朝?起きないと…。

違和感

ふと鏡を見ると違和感がある。

「…俺ってこんな顔だったっけ?」

レンタルパーツB

手数料を考え、なしにした。

レンタルパーツA

太った中年と変わったりすることを考えると、代替オプションは付けておいたほうがよさそうだ。

レンタルパーツ

「レンタルパーツバイト…?」
「そうや、未成年のお前には夜働かせられへん。これで稼ぐんや」

父の会社が倒産し、大量の借金を返すため、
取立人から斡旋れたのは見たことも聞いたこともないバイトだった。
これなら高校を辞めずに返済も手伝える…。
せめて高校は出ておきたい私にとって、学費が払えず退学という想定もしていたため、断るという選択肢はなかった。

2018/04/05

ナノマシン ダイエット

痩せたい!でも自分では運動したくない。
ダイエットをナノマシンに任せてみませんか?
最近はやりのダイエットだ。


2018/04/04

取扱変更届(2)

-魂の入れ替わり 対象者について-
自身の魂が、今の身体より、より適合する身体と強い接触をした場合にお互いの魂が入れ替わって固着してしまう現象が確認されている。
現象の大半は3歳(*1)から20歳までの間で確認されており、成人後は症例は少なく、魂と身体の固着は年齢とともに起きにくくなると考えられる。
現象の大半においては、似たような体型…つまり同性で体系・年齢が近い場合がほとんどである。
性別を超えての入れ替わりも若干ながら認められているが、いずれのケースも10歳以下、つまり思春期前の男女(*2)の組み合わせとなっている。
お互いの年が5年を超えた場合の入れ替わりは確認できていない。

取扱変更届(1)

「今週までが期限となります、必ず提出するようにしてください」
母と私の目の前に座る役人がA4の用紙を2枚こちらに寄越してくる。

「ご本人にとって大変だとは思いますが、慎重にご検討ください」
「…はい」

母は神妙に頷く。

「じゃ、遥、帰りましょ」
「…うん」

2018/04/03

変化ウィルス(2)

階段を上ってくる足音が2つ。
片方はもう一方に比べて足取りが軽い。

変化ウィルス(1)


私はそろそろ起きて支度をしないと…と起きようとするが身体が動かない。

2018/04/01

姿だけ入れ替わって立場が変わらなかったら

入れ替わり。
映画や漫画、小説でたまに見かける自分の体が他の何か(人だったり動物だったり、無機物だったり)と取り替えられてしまう現象だ。

とある地方神社に祀られている神様はその手のシチュエーションを好み、隙あらば願いを叶えると称して入れ替わり現象を起こし、その時代の人々を混乱させていたが、しまいには悪神として僻地にある小さな小さな祠へ移されてしまっていた。

この胸揉み放題

男子生徒達がすれ違いざまにチラリと俺に視線を向けてくるのが分かる。
その視線は間違いなく俺の胸へと注がれている。
俺の視線に気がつくと、慌てて視線をそらし、小走りで去っていく。

…なぜこんなことに。 俺はため息をつく。
ため息に連動して、俺の胸にある大きな双丘が、揺れ動いた。


とある未来の学校の実習


いま、私の学校では職業体験の時期の真っ最中。
希望のある職業を選択し、先輩の仕事への熱意、やりがいを聞いたり、支障がなければ少しお手伝いもさせてもらえるイベントだ。

私は看護師と保育士に興味があるので2つ志望している。
そのうちの看護師の職場体験はつい先日終えたばかり。さすがに医療現場には入れなかったものの、想像していなかったような細かい仕事の存在や、患者さんに接する苦労を発見したので、朝早くから今一度、自分の将来について熟考しているところだ。

強制着せ替えアプリ

着せ替えアプリ

僕のスマホにいつのまにか、強制的に着せ替えることができるアプリが
インストールされていることに気がついた。
僕はその時に、自分をいじめるあいつに復讐してやろうと心に決めたのだ。

トシヒコはいわゆる外見優等生だ。
見た目もイケメンだし、勉強も運動もできる。そして資産家の一人息子。
残念なのが性格だ。クラスで派閥を作り弱そうなやつを攻撃する。
そんなターゲットにされるのは、いかにも弱そうな僕のような人間で、
教師に訴えようにも表向きに素行は良いため、大人は信用しないのだ。

メイドロボインストール

AIとロボ技術が発展した未来。
人類は生活にも仕事にも汎用型メイドロボを導入するようになった。
会社では事務作業だけでなく商品の新企画や新たな技術開発に、家庭でも家事育児はもちろん、買い物から家のかんたんな補修までこなすのだ。
政治の世界でも下手な秘書を数人雇うより1台メイドロボを導入したほうが効率が良いともっぱらの評判だ。

動物係

私の学校では中学では珍しく、2年目にみんなで生き物を飼うという慣習があります。
入学時にもパンフレットに書いてあるぐらいであり、放課後でも生き物の面倒をみるという名目で生徒が交代で学校に泊まるということを1年間続けるのです。
何を飼うかはクラスで違います…といっても地方の中学校なので数クラスしかないのですけども、過去にはかなりマニアックなものを育てたこともあるようです。

へいわがおとずれた!

「魔王城まであと少しね」
私は城を指さす。
「そうね…でもここまでは今までも数多くの人達が到達してるはず…。気を引き締めましょう」
勇者のリリアは、私達に油断しないよう注意をする。
「でも、2人でよくここまで来れたなあ…」
そういいつつ、私は深く息を吐きます。
女2人で魔王討伐に出ると決めた時は周りにバカにされたものだが、
やればできるもんだ。
「そうね、シャル。これからもあなたの魔法、期待してるわ」
そう言って、リリアは私の肩をポンと叩く。
「魔王を倒して、平和を持ち帰って、街の皆に自慢しましょう」
リリアは魔王城へ進撃を宣言した。

数多くの冒険者が向かい、そして帰ってくることがなかった魔王城へと…。

代替労働

「被告を代替労働年の刑に処する」

終わった。
私は判決理由を上の空で聞いていた。

ヶ月前、塾の帰りに警官に呼び止められ、カバンから出てきた見知らぬ錠剤。
その場で拘束・逮捕され、その後の薬物検査では髪の毛から陽性反応が出たと伝えられた。
そんなもの知らないし、摂取したこともないという訴えは届かず、私は今ここにいる。
反省の色無しと見られたのかもしれない、でも身に覚えがないのだ。どうしようもない。

代替労働
反省・更生を促すのに適した刑で、脱走の心配もなく、人手もかからない為、
現在の犯罪増加・刑務所の飽和を解決するために積極的に採用されたと聞く。
労働内容は多種に渡るらしいがよほどの凶悪犯罪者でなければ面会も認められている、そんな刑だ。

「刑」、そんな言葉に縁のない、優等生だった私がなぜ…。